成長する仕事、「働く仲間に最高の未来を」をコンセプトに美容室、ネイルサロンを経営してる原田です。

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〜還元剤・pH・アルカリを理解するための毛髪科学〜
美容師として薬剤を選ぶとき、


「クセが強いから強い薬剤」
「ダメージがあるから弱い薬剤」
この考え方だけでは、安定した技術はできません。
本当に見るべきなのは、髪の中にどれだけCMC(Cell Membrane Complex:細胞膜複合体)が残っているかです。
CMCを理解すると、縮毛矯正・パーマ・カラーの考え方が大きく変わります。

CMCとは?
CMCは、髪の細胞同士をつなぐ「接着剤」のような存在です。
構成成分は主に脂質(セラミド、コレステロール、脂肪酸など)とタンパク質で、毛髪内部とキューティクルの両方に存在します。
役割は、
● 水分保持
● 薬剤・トリートメントの通り道
● キューティクルの接着
● バリア機能
この4つです。
つまり、CMCが減少すると、薬剤の効き方そのものが変わります。

CMCと還元剤の関係
還元剤は、CMCを通ってコルテックス内部へ浸透し、シスチン結合を切断します。
しかしCMCが減少した髪では、薬剤の浸透スピードが速くなりすぎます。
その結果、
● 軟化が早い
● オーバー還元
● ビビり毛
● 毛先の体力低下
につながります。
だからダメージ毛ほど、
「弱い還元剤」ではなく、「コントロールしやすい還元剤」を選ぶことが重要です。

還元剤選定の考え方
例えば、
健康毛
● チオグリコール酸
● システアミン
比較的しっかり還元できる薬剤でも対応できます。

エイジング毛
CMCが減少しているため、
還元力だけではなく、
● pH
● アルカリ量
● 放置時間
を慎重に調整する必要があります。

ブリーチ毛
薬剤は非常に浸透しやすい状態です。
強い還元剤を選ぶよりも、
● 低アルカリ
● 酸性域
● 還元スピードをコントロールできる処方
の方が失敗しにくくなります。

CMCとpHの関係
アルカリになるほどキューティクルは開きます。
キューティクルが開くと、
CMCも流出しやすくなります。
つまり、
アルカリが強いほどダメージするのではなく、CMCが失われやすくなることが問題なのです。
だから、
必要以上に高いpHは避けるべきです。

pHの目安
● pH4.5〜5.5:髪が最も安定
● pH6〜7:穏やかな膨潤
● pH8〜9:一般的なカラー・パーマ
● pH9.5以上:膨潤が大きく、CMC流出リスクも高くなる
大切なのは、「クセが強いから高pH」ではなく、「必要最小限のpHで目的を達成する」という考え方です。

CMCとアルカリ度
よく勘違いされますが、
pHとアルカリ度は同じではありません。
● pH:アルカリ性・酸性の強さ
● アルカリ度:髪を膨潤させる力の大きさ
たとえ同じpHでも、アルカリ度が高ければ膨潤が大きくなり、CMCへの負担も増えます。
薬剤を選ぶ際は、pHだけでなくアルカリ度にも注目しましょう。

CMCが少ない髪の見極め方
サロンワークでは、次のような髪はCMCが減少している可能性があります。
● 濡れると極端に柔らかい
● 乾くとゴワつく
● カラーの褪色が早い
● ツヤが出ない
● トリートメントの持ちが悪い
● アイロン後もまとまりにくい
● 毛先だけ薬剤反応が極端に早い
こうした髪には、薬剤を「効かせる」のではなく、「効きすぎないようにコントロールする」という発想が必要です。

上手な美容師ほど「髪の履歴」を見る
薬剤選定の前に確認すべきことは、
● カラー履歴
● ブリーチ履歴
● 縮毛矯正履歴
● 熱ダメージ
● 紫外線ダメージ
● 年齢による変化
● 日常のホームケア
これらを総合的に判断することで、髪に残っているCMCの状態を推測し、最適な処方につなげられます。

まとめ
薬剤の知識だけでは、良い技術はできません。
髪の状態だけを見ても、良い技術はできません。
「髪の状態」と「薬剤の特性」をつなぐ存在がCMCです。
CMCを理解すると、
● なぜその還元剤を選ぶのか
● なぜそのpHなのか
● なぜアルカリ量を調整するのか
すべてに根拠を持てるようになります。
感覚ではなく毛髪科学に基づいて薬剤を選べる美容師は、ダメージを最小限に抑えながら、お客様の理想を再現できます。